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zoom RSS 「小箱選びのモチーフ」フロイト、三人目の女性の沈黙、その意味する死

<<   作成日時 : 2018/07/31 00:45   >>

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「フロイド選集」(日本教文社)の第七巻「芸術論」に収録されている「小箱選びのモチーフ」
Das Motif der Kaestchenwahl 実は神戸大学の教養課程でのドイツ語でテキストの一冊、京
都大学での女性教官で出席はとらない、はいかにも京大的、であるが内容はいたって親しみ
にくくもあるが、読む返せばさして難解でもない?文学作品や神話、童話を数多く例示しなが
らなにをフロイドは言いたかったのか?

 一人の男が三人の女性から一人を選ぶ、なぜいつも三人目が選ばれるのか?

 「そして三人目だ、−そうだ、三人目の女神はー並んだまま、黙っていた。」

 「精神分析はわれわれに対してこう教えてくれる。沈黙は夢において死のもっともありふれ
た表現である、と」

 三人目の女性が死とも沈黙とも無縁な、美しい女性という場合がある。このすり替えは
技術的には困難ではない。古い感情両価性(アンビヴァレンツ)によって準備されていた。

 選択というモチーフが三人姉妹の神話に入り込んだのは願望逆転である。必然宿命の
代わりに選択がある。選択されるのは死の女神でなく美しい女神である、だが美しい女神
にも不気味なものを内蔵している、その隠されたものとは死である。

 要点を思いつくまま挙げればこんな所か、・・・・・

 「小箱選びのモチーフ」という題名は最初の例示の「ベニスの商人」における一人の女性
への三人の男性による求婚が三つの小箱選びで行われる、ということによっている。
三つの小箱にはそれぞれ金、銀、鉛で出来ている。鉛の箱に女性の肖像画が入っていた
。鉛の箱を選んだ求婚者が目的を遂げる。

 三つの箱は三人の女性であるとフロイドは云う。

 この小箱選びによる神託は実は『ゲスタ・ロマノールム』からの借用だという。一人の少女
が王の息子と結ばれるためこれと同じ選択を行う。だがモチーフの裏返しである。

 例示で『リア王』老いたるリア王は領土を三人の娘に愛情に応じて与えようと決心した。
末娘、三人目の娘は愛情の表現を拒む。ここでリア王は末娘を排除した。これも小箱の
モチーフのバリエーションである。

 童話においても羊飼いのパリスの話、灰かぶり姫、アプレウスの話の中のプシュケ


 「なぜいつも三人目の女が選ばれるのか?この疑問に答えられたら、求めている解釈
が得られる。三つの小箱を三人の女として説明した時、・・・・・・優れた三人目の女は美し
さの他にいくつかの特異性がある。・・・・・いつも押し黙っている。『隠れる』ことは『黙って
いる』ことと同一視してよい。・・・・・三人目の女性の特性は『沈黙』に要約される。沈黙は
夢においてしのもっともありふれた表現である、と」

 グリムの『12人の兄弟』、『6羽の白鳥』の話、・・・・・沈黙は死の表現である。

 選択がなされる三人姉妹の三人目は,沈黙ゆえに死んだ女なのであろう。死の女神、・・
・・・・・・。

  だが三人姉妹から一人を選ぶというモチーフにおいて、理解しがたくなるのは、三人
目は死の女神、死そのものでなければならないが、パリスの審判では愛の女神であり、
アプレイウスの物語では愛の女神に比すべき美人であり、『リア王』ではただ一人の誠
実な女性であり、『べニスの商人』では余にも美しく賢明な女性である。・・・・これらの
死であるべきが愛の女神、という矛盾は、精神分析においては矛盾、正反対による置き
換え、相対立するものが、例えば夢のような無意識の表現手段では、極めてしばしば同
一の要素で表現されるということがある。人間の心的生活の中には、いわゆる反動形成
として、反対のものによる代理を招致する諸動機が存在している。

 『『リア王』においては三人の姉妹は産む女、性的対象としての女、破壊者としての女
であり、母性愛が変遷していく三つの形態である。破壊する女は死の女神であり、再び
男を抱き取る母なる大地の女である。・・・・・唯運命の女たちのうち三人目が、沈黙の
死の女神として彼がその腕に迎え入れるであろう、・・・・・・。

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  という具合に論述している。三人目の女性が選ばれる、沈黙は三人目、沈黙は死
を意味する、・・・・・

 フロイドは芸術と精神分析をどう結びつけたのだろうか?

 『心的現象の二原理に関する要約』においてこう書いている

 「芸術というのは、一種独特のやり方でこれら二原理(快楽原理と現実原理)を和解
させる。芸術家というのは、抑々現実に背を向ける人間達である。何故背を向けるの
かというと、現実は人間に欲望を断念しろ、とまず要求する。芸術家はそれが嫌なの
だ。芸術家は自分の性的願望や世俗的要望を空想の世界で満たすのだ。しかし彼ら
は空想の世界に行ったきりで現実世界の戻らないかといえば、そうでもない。ではど
んな風に立ち戻り、現実への帰り道を見つけ出すかというと、その特別な才能によっ
て。自分の空想を新しい現実へと形成する。この新しい現実を人々は現実の貴重な
模像として通用させる。そんな風にして芸術家は実際に自分がなろうとした英雄、王
,創造者、愛人になる。しかも現実世界を本当に変えるという大変な迂回路を経ないで
、そうなってしまうのである。何故芸術家はそんな芸当が出来る?芸術家以外の人も
芸術家と同じく現実から要求される欲望充足の断念を嫌なことと思っているからであ
る。快楽原理の変わりに現実原理が建てられ始める。」

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