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zoom RSS 夢二の後継者としての中原淳一

<<   作成日時 : 2018/03/12 18:14   >>

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あの元宝塚、男役だった葦原邦子さんのご主人としても知られる中原淳一、
彼が挿絵画家としてデビューしたのは昭和7年である。戦後の活躍はめざましく
、雑誌社を設立し、『それいゆ』、『ひまわり』などを出版し、戦後、昭和30年代
までの少女文化、少女美術を常に先導した存在である。

 宝塚時代、寄宿舎屋上で絵を描く葦原邦子

 
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 昭和の少女文化をリードした中原淳一だが、ここで視点を変えて、大正期の
竹久夢二の、あるいは竹久夢二的少女文化の継承者としての存在、・・・・
中原淳一は少年時代を大正期に過ごしたから夢二の影響は大きかったことは
想像に難くない。

  中原淳一は大正2年、香川県に生まれた。対岸の岡山県に竹久夢二が出生
している。家族は両親と兄一人、姉一人がいたが父親は淳一が7歳の時亡くなり
、9歳で兄が大学進学で家を出たため、男は淳一だけという状況で過ごした期間
が長い。遊び仲間も女性が多かったようで、いわば周囲は女だらけに近かった。
こうした中で淳一は和裁や着物の着付け、芸能など、大正期の女性が持つ趣味、
教養を自然と身に着けたようである。

 更に特筆すべきは、大正4年から12年まで過ごした徳島の地、これが淳一の感
性に大きな影響を与えた。徳島は泡人形の本場である、さらに巡礼者が多い。
淳一は日常的に伝統芸能に触れ、日本的な美意識を養い、芸人や巡礼者の持つ
悲哀をも敏感に感じ取って育った、後年において淳一は子供の頃見た人形浄瑠
璃を「ただの人形であるのに、人間の持つ哀愁がにじみ出ていて、子供こころに
強く焼き付いたが、これも人生において私が挿絵画家になった一つの動機になっ
たかもしれない」と述べている。

 やがて淳一は19歳のときに絵の才能を見出され、雑誌『少女の友』の専属挿絵
画家として活動を開始したが、同時に旅芸人や巡礼者の姿をもしばしば描いてい
る。

 他方、淳一は西洋文化にも親しんでいる、当時としては珍しいクリスチャン一家
で育っっている。小学生時代の殆どを外国人宣教師のもとで暮らしている。淳一
は7歳の時、父親を失っているが、そこで一家に救いの手を差し伸べたのが、外国
人宣教師であった。淳一は徳島教会の宣教師ラムプキンの、後に広島に移ってか
らは広島女学院長のブリージャスのもとで生活し、同校付属小学校を卒業している
。つまり淳一は当時としては稀な西洋的な生活環境に身をおいていたのである。
淳一があそこまで頭角を現し得たのも、上っ面なハイカラ趣味ではなく、真に西洋
文化に触れていたからでもある。

 以上のように西洋と日本文化の両面で育まれた淳一は、その意味で大正の生ん
だ画家であった。

 だが淳一はこの大正期の画家、竹久夢二から大きな影響を受けている。

 淳一は兄の招きで13歳で上京し、15歳で日本美術学校絵画科に入学し、この
頃描いたものにすでに夢二の影響が見て取れる。この頃は、昭和初頭において
夢二はすでに忘れられた存在であった。だが夢二こそが淳一の心を捉えた。後
に、竹久夢二展に寄せた文章で「あのおびただしい数の神田の古本屋の『夢二』
はすべて買い集めた」と述べているくらいである。夢二への傾倒ぶりは推し量れ
る。

 したがって淳一は夢二のオマージュともいうべき作品を残している。とある座談
会で「幼い時の記憶が自分の絵の素材となってどこかに残っていることは確かな
んですね、僕、巡礼の寂しい姿を思うと、すぐに夢二を思い出します」と述べてい
る。

 新人時代の淳一は優れた西洋文化の感性と知識、日本の伝統文化の哀愁、さ
らに夢二への傾倒でその腕をあげていった。

 画家としての技量が上がっていくに連れ、夢二の埒をも超えた極めてファッショナ
ブルな精彩を獲得していって魅力をました。

 それはまず少女の纏うドレスのデザインに表れた。少女の表情にはまだ大正の
香りが漂っていたがそのドレスには新しい時代の予感を感じさせるものがあった。

 洋服をデザインし、それを魅力的に描くことは従来の画家たちがもち得なかった
ものであった。西洋人とも暮らした淳一のファッションセンスは抜き出ていた。淳一
のもつ洋服の知識とセンスはその絵の魅力、存在感を際立たせた。挿絵画家とし
ての新たな時代を切り開いた。

 戦後の活躍はその大輪の花であった。


  
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