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zoom RSS トロツキー「破局に向かう日本」の洞察力と現代性

<<   作成日時 : 2018/03/05 19:59   >>

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トロツキーによる日本についての論文「破局に向かう日本」はよく知られている。

一部であるが、


日本の支配階級は疑いもなく目のくらむような状況にある。彼らは、未曽有の内的困難からの活路を、対外的な略奪と脅迫と暴力の政策に求めてきた。そしてそれはすべてうまくいった。国際条約は陵辱された。独立国家の創設という外観のもと、広大な国[満州]が併合された。国際連盟は、誰にとっても必要ではない報告書の山を築いてきた。アメリカは慎重に沈黙を守っている。ソヴィエト連邦は譲歩しつつある。あたかも日本が本当に不敗であり、その元首がアジア大陸のみならず、全世界を支配すべく運命づけられているかのようだ。しかし、本当にそうなのか?

 40年足らず前に、この小さな島国は巨大な中国を陸と海で打ち破った[1894年の日清戦争のこと]。全世界が驚愕した。下関講和条約が調印された14日後に、ドイツの有名な地理学者リヒトホーフェン(1)は、日本が「対等の地位」を獲得し、列強諸国の一員にのしあがったと記した。10年後にはさらに大きな奇跡が起きた。日本は帝政ロシアを完全に打ち負かしたのである。このような結果を予測した人はごくわずかだった。その少数の人々の中には、何よりも、ロシアの革命家たちが入る。しかしその当時、誰が彼らの言うことを関心を払っただろうか? 2つの隣国――合わせると日本の十倍の人口を持つ――に対する日本の勝利が、文明国人にとって意外なものであればあるほど、それだけこの島国帝国の地位は高まった。

 世界大戦への日本の参加は、極東および部分的には地中海における大規模な警察的行動以上のものではなかった(2)。しかし、日本が戦勝国の陣営にいたという事実は、それに伴う大量の戦利品とあいまって、日本の支配階級の民族的うぬぼれをいっそう高めることとなった。戦争の当初に中国につきつけた「21ヶ条の要求」――日本自身が屈辱的な条約から解放されてからわずか15年後のことである――は、日本帝国主義の牙を完全に剥き出しにしたものだった。翻訳もある。至って説得力がある。』


 1929年、スターリンによって国外追放されたロシアの革命家、レオン・トロツキー
は明治維新後の日本のあり方について、1933年7月、亡命先のトルコ、プリンキポ
島でその二年前の「満州事変』以後の日本の動きを分析した「破局に向かって突
進する日本」を書いた、田中義一の文章を参考にもしている。

 端的に言えば日本は産業上も民主主義上も社会改革の上でも何ら練磨、改革
をへずして「近代化」しての軍国、すぐに外征の連続、社会基盤はお話しにならぬ
くらいの脆弱さ、m国民の極度の貧しさ、神話を国家原理に位置づけるごまかしで
、全てを封印しているという。

 さて、この中でトロツキーは満州での日本の軍事的優勢につき、仮に勝利をおさ
めようと、「日本軍は絶対無敵」の狂信は、帝政ロシア軍と同じで「信心深い一つ
の神話」にしか過ぎず、日本の場合は古代の政治的神話をこじつけての狂信の
域であり、危険としている。

 「ロシアとの戦争で、日本が世界的な科学的水準においてその軍事力を維持す
るに足りる経済的発展を遂げたことは事実」としながらも、日本がまだ軽工業中心
であり、国民一人あたりの所得はわずか175円と世界でも最低水準であり、庶民
の生活水準は低く肺結核なので伝染病が蔓延し、死亡率が高く、しょせんは先進
大国との総合戦を勝ち抜くことは不可能であろうと述べている。

 「日本ブルジョワジー中世農奴制の軛を断ち切れず、社会改革がほとんどなさ
れないうちに見かけの軍事力を身に着け、外征に走る外交政策をとるようになっ
た。ここに致命的なまでの危険性がある。軍国主義が社会矛盾火山の上に建て
られている」

 田中義一文書という信頼性に乏しい資料に依拠しているにせよ、近代国家シス
テムが事実上何ら構築されず、神話的精神主義でのみで戦争を始めれば日本は
壊滅的な敗北を喫すると見抜いている。

 で、トロツキーが危険視した橋本欣五郎や石原莞爾などはトロツキーに注目し
ていた。石原莞爾はトロツキーを高く評価し、満州国に自ら企画した「建国大学」
に教員として招聘の考えさえあった。だが創立の翌々年、トロツキーはメキシコで
刺客に暗殺されてしまったのである。


要約しよう。日本は、大戦争の際に敵国になりうるどの国よりも経済的に脆弱である。日本の工業は、数百万人の軍隊に、何年にもわたって武器弾薬を供給しつづけることはできない。平時でさえ軍国主義の重荷を支えることができない日本の金融システムは、大戦争が始まったとたんに完全に崩壊するだろう。日本の兵士は、全体として、新しい技術と新しい戦略の要件を満たしていない。住民は体制に対して深い敵意を抱いている。征服という目標では、分裂した国民を結束させることはできないだろう。動員によって、数十万の革命家ないしその予備軍が軍隊に流入するだろう。朝鮮、満州、およびその背後に控えている中国は、日本の支配に対する非和解的な敵意を行動によって示すだろう。この国を構成する社会的繊維はボロボロになった。かすがいはガタガタになっている。軍事独裁という鉄のコルセットを着ていると、公式の日本はまだ強力であるように見える。しかし、戦争は容赦なくそのような神話を一掃してしまうだろう。

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