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zoom RSS 若山健海(牧水の祖父、医師)の種痘の導入への貢献

<<   作成日時 : 2018/02/21 00:17   >>

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 「幾山河超えさりゆかば果なむ国ぞ今日も旅ゆく」のあの偉大なる歌人、若山
牧水の祖父が種痘の日本への導入に貢献があった、とはネットでも数は少ない
が紹介されているし、書籍中の紹介もあるがそれらは論文も含めて現在参照は
こんなである。

 昭和21年、最後の旧「文藝春秋」四月・五月合併号に大悟法利雄氏による
「若山健海氏のこと」もうこの雑誌の入手も不可能に近く、貴重な内容なので
ここに掲載させていただきます。

  
   若山健海氏のこと  


  歌人若山牧水の祖父は医師で若山健海という。牧水はその幼時の追憶記
「おもいでの記」の中に「祖父の事」という一章を設けて、祖父の健海が多年、
シーボルトについて蘭学を修め、西洋医術を勉強したかなり進歩的な医師で
あったことを語っているが、健海の没したのは牧水の僅か三歳のときであり。
牧水は祖父の健海についてはあまり深くは知らなかった。また土地の人も
健海については関心を持つ者もおらず、従って若山健海は従来、単に牧水の
祖父としてのみ記憶さるるのほか、更にその名を知られることもなかった。

 ところが私(大悟法利雄)は一昨年(昭和19年)、若山牧水伝執筆の資料の
蒐集中にゆくりなくも「種痘人名録」と題する健海自筆の記録を発見した。それ
を調べた結果、若山健海は単に牧水の祖父であるということにとどまらず、当
時の医学界の一大先覚者として日本歴史の上にも新たに記載されるべき人物
であるということがわかり、また従来知られていた牛種痘伝来に関する歴史が
改めて再検討されねばならない極めて興味ある事実が発見されるに至った。

画像


 それについては実は既に昭和19年11月発行の「若山牧水伝」で一応の報告
をしておいたが。その私の著書は製本が出来上がったばかりの時に空襲で灰
燼に帰してしまった。ごく僅かな部数が読者の手元に渡っただけで識者の眼に
ふれることもなかった。しかし事は西洋医術伝来史上相当に注目すべき発見で
あり、科学日本の再建の要が痛感される折から空しく看過されるべきことではな
い。かつまた歌人若山牧水祖父として文芸愛好者にも興味あるべきを思い、私
はここに改めて若山健海についてペンをとることとした。

 若山健海の手記『種痘人名録』の冒頭は

  種痘 Koepok 伝嘉永酉初春上旬到于崎陽蘭人  Mohnike 君為師得是
術而帰于宮崎施之之連名

  と記して、三月六日から九人に、その中には健海の倅の立造も入っていた、
にそれから四月六日まで宮崎で種痘を続け、四月末からは美々津に行ってま
た種痘を行ったことが明記されているが、これは種痘伝来という歴史上の重要
な事実である。

 元来、種痘の世界的に分布したのは極めて古いことである。予防法としての
種痘は古来支那でもトルコでも行われていたという。しかし現在の種痘、すなわ
ち牛痘接法の発明は何人も知るとおり、英国人のジェンナーによって初めて行
われたのである。それが支那を通じて我が国に入ったのはこれも相当古くて
、文永六年に来朝したシーボルトなども牛痘接法の普及に努力した。しかし牛
痘苗陳敗のためその接種は失敗に終わっている。そして嘉永元年1十月長崎
出島蘭館医員として渡米したドクター・モーニケも新しい牛痘漿を持ち帰り、これ
を蘭通詞の子二人に接種してみたが効果はなく、遂に長崎の医師楢林宗建の
奨めによって牛痘痂(かさぶた)を取り寄せて試みることになり、翌嘉永二年六
月新しく取り寄せた牛の痘痂によって摂取したものが初めて効果を示した。そ
こでモーニッけは牛痘接法の普及を計るため、長秋奉行に建白した結果、七月
二十四日から江戸町の蘭通詞会所内で牛痘接法の伝授と種痘を始めることと
なり、全国諸藩の医師たちが先を争ってその会所に至って伝習を受け、また見
学したという。・・・・・・これが従来の種痘伝来の定説である。

 ところが『種痘人名録』に記載された嘉永酉とあるのは嘉永二年であるから、
その年の春、若山健海が種痘をやったとなれば従来の定説は覆されてしまう。

  当時、健海の住んでいた場所は、家はすなわち後年の牧水の生家である。
日豊本線富高駅から六里あまりの山奥の極めて不便な場所である。だから当時
であれば、想像以上の不便さであったはず。そういう僻村に住む医師がいかに
して最も進歩的な牛痘ということに関心を抱いたのか、ここで若山健海の生い立ち
を述べることとする。

 若山健海は文化八年二月三日。現在の埼玉県入間郡所沢町に生まれた。所
沢の駅から一里半ばかりの農村である。家は農家であった.

 

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