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zoom RSS 森村桂さんのカレーの思い出

<<   作成日時 : 2018/06/19 11:46   >>

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2004年に自ら命を絶たれた作家の森村桂さん、いうまでもなく「天国に一番近い
島」が超ベストセラーにしてロングセラー、映画化も二度かな、それほど名を知られ
た名声に包まれた彼女がなぜ、と思ったものだが。彼女のカレーについての思い出
を綴った文章、2000年10月の雑誌掲載で全集にも当然未収録と思いますが。

 でもカレーライスって美味しい、のだが私は腎臓病で食べられない、食べるなと本
に書いているわけでもなく医者が言うわけでもない。「香辛料、スパイスは食欲も増
進させて腎炎に悪影響はない」が普通だが、真実は実体験からしか導き出せない。
食べたら具合がわるいのである、納豆も、・・・・・この二つが食べられたら食事は楽し
く栄養も豊かなのに、だが仕方がない。カレーライスについて、その歴史や料理法な
どについて述べた書籍、文章は数限りない。現在の日本のカレーブーム、定着は
肉、野菜を煮込んだ中に入れて、しばらく煮込めばカレーが出来るというカレールー
の誕生である。それまでの小麦粉を炒めるなんて煩わしさから解放されて、家庭料理
の中に占める圧倒的な意味が増したわけである。一部好事家の愛好の特殊なカレー
はカレー人気と直結しない。

 さて、森村桂さんの文章。


      思い出のカレー      森村桂

 カレーというと、ネパールでネパール人だったかインド人だったのか、集って、カレー
を食べた光景を思い出す。

 ガレージのようなところで、十数人が地面に座って食べていた。

 日本と違うのでびっくりしたことは、スプーンでなく手で食べることだった。

 カレーの中身は、どんなお肉だったか解らなかったが、じゃがいも、それも小ぶりの
ものが皮ごと入っていた。「美味しそうだなぁ」と思った。

 またインドのホテルでルームサービスをしてもらうものは、全てカレー料理だった。
タムドゥーリーという鳥を焼いたものが私は好きになった。

 ある時このタムドゥーリーを焼いている店があった。素焼きのツボの中で炭を燃し
て、そのツボの内側に鳥を貼り付けて焼くのが珍しくて、私も鳥を取り、さっとそのツボ
に手をツッコミ、鳥をぴったり貼り付けた。
 
 「グアー!」あまりの激熱に身体中の骨が焼けてしまったと思ったほどだった。ツボ
に貼り付いた手をようやくはずした時はひどいやけどだった。お店の主人があわてて
草のようなものを持ってきて冷やしてくれた。

 私はどうしてこうバカなんだと恐縮しながら、痛みにようやく耐えたが、いつももう一
度、あの店を訪ね、あのツボのタムドゥーリーを食べたかったなと思う。
 
  ホテルのものも美味しいが、こういう町の中で食べるタムドゥーリーやかれーはや
はり格別なものがある。

 ダルという豆だけのかれーもおいしい。インドやネパールの人たちはこれを料理の
副菜の一つとしているのだろうか。テーブルにはいつもこの小皿とともに四種類くらい
のカレーの大皿が出てくるから、私はキョトンとする。

 その四種類をよく覚えていないのは残念だが、三つはふつうのお皿で肉のカレー
が一皿。残りの一つは小さくてダル、後の二つは一つが野菜で一つはお肉違いであ
ったのか、それともエビかお魚だったのか。

 日本に戻ってきて、あるホテルで、5千円のカレーというのが始まった。

 カレーライスはせいぜい千円ちょっとまで、と思っていたからびっくりしたが、ある時
誰かと牛肉のカレーとお魚のカレーというのを一つずつとって食べた。お魚のカレー
は、大きな帆立貝だった。半インド風プラス西洋風の上品な味で、あのインドカレー
独特の野趣のあるカレーとは違っていた。

  時代は変わって、今はインドから直輸入のかれーがある。さてしかし、日本にいて
食べると、一体どこが違うのか、気候風土の違いか、旅でのハイな気分との違いか、
それとも、お米か油なのか、香辛料の混ぜ具合なのか、それともインドのカレーに魅
せられたシェフの「うまさ」と私が求めるものは違うのか、どうも私にはしつこすぎて、
一口二口はおいしいと思っても、胃が受け付けてくれないのがいつも残念でならない


 我が家のカレーというと、幼い頃によく母が作ってくれた牛肉の薄切りと玉ねぎ
とカレー粉を炒めただけのカレー。ノク好きの私には大好物だった。

 ところが、近所の友人のところに行くと、人参やじゃがいもたっぷり入れたカレー粉
とメリケン粉の水どきカレー、これもまたおいしく、カレーっていろいろあるんだなと幼
いながら思った。

 さて今は軽井沢のアリスの丘でどんなカレーを食べているかというと、・・・・・・。

 ある頃はカレーにものすごく凝って、牛肉やチーズや玉ねぎをたくさん使い、何日も
煮込んだもので作って、お店で出したりしたが、ケーキ焼きが忙しくなったのと、実は
カレーよりも、もうれつにハヤシライス人間のため、カレーは降りることになって久しい。

 時折、夫や助っ人に来てくれた甥が作るインスタントのカレーにじゃがいもが入った
ものを、じゃがいもだけつまんで、「おいしい!」といって食べて、あとはハヤシを食べ
ているのである。

  
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