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zoom RSS 図案家(グラフィックデザイナー)としての小林かいち

<<   作成日時 : 2018/03/18 18:23   >>

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長く忘れ去られていたに等しかった小林かいち(小林嘉一郎)だが特に2004年の
ボストン美術館所蔵の「ローダンコレクション・美しいの本の絵葉書」展で注目を浴び
、展示されていた小林かいちの作品は再評価を受けた。木版絵師、グラフィックデザ
イナーであり、そのほとんどは木版刷りの絵葉書、絵封筒、またカレンダーなどである
。大正から昭和にかけて女性向け、少女向けの雑誌が相次いで創刊され、大正6年に
『主婦の友』、『婦人界』、大正9年に『婦人倶楽部』、大正11年に『令女界』、大正13年
に『婦人グラフ』がある。それらの読者は主に新興中産階級の女性、女学生であり、こ
うした雑誌を中心とした印刷メディアにおいて、竹久夢二、高畠華宵、蕗谷虹児、中原
淳一加藤まさをらが本質的な意味合いで図案家、グラフィックデザイナーとして縦横無
尽の活躍を行い、一世を風靡した。こうした系譜の画家において幻の図案家、グラフィッ
クデザイナーの小林かいちがいた。

 その生涯は長く不明であり、京都に居住し続けたていどのことしか分からなかった。
2008年、次男が名乗り出るまでは不詳、幻の図案家だった。

 その作品はほとんどが京都のさくら井屋が扱う絵葉書、絵便箋、絵封筒、ポチ袋な
どという摺物のデザインを大正末期から昭和初期にかけて数多く手がけた。そこに見
られるのは他の少女画像、女子絵画像の画家、図案家とは明らかに異なる、なんとも
退廃的ムード漂う神秘性に満ちているということが挙げられる。ピアズリーの装飾表現
にも通じるものであろう。造形的にいえば、木版の彫りの痕跡を残さない多面摺り板目
木版による平面処理を主としながらも、曲線的な要素と直線的要素、幾何学的要素的
な要素が組み合わされる、個性的、独特の装飾効果を生んでいる。

 色彩感覚がまた素晴らしく魅力的だ。深みのあるピンク色、あでやかなピンク、それら
を黒と紅赤、黒とピンク、黒と白と紅赤などといった色面比にして、さらにぼかし、濃淡
を交えて情緒的でなおかつ神秘的な洗練された雰囲気を醸し出している。

  このような伝統的な造形感覚にアール・ヌーヴォーとアール・デコが息づくような、そ
の画風は、女性像、唐草模様、着物、椿、孔雀、蝶、蜘蛛の巣、バラ、教会、十字架、
ロウソク、すずらん、クローバーなどといったモチーフに、表現に十分発揮される。その
センスは現代の服飾デザイン、化粧品のパッケージに通じるデザイン感覚に満ちてい
る。単純化されたシルエット、抽象的なデザイン装飾などには未来派、ロシア構成主義
といった前衛芸術からの影響も伺われる。

 小林かいちの描く女性は着物姿でうなだれ、両手で顔を覆い、うずまくり、背を向けて
いる。顔の表情はわからない、だがそのようなポーズからイヤでも彼女たちの深い憂い
、哀しみが伝わってくる。しかし同時にクールでもあり、過剰な情念は感じさせない。傍ら
に描かれたハート、トランプのモチーフがその女性たちの心情を神秘的なものであるこ
とを暗示しているかのようだ。

  
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