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zoom RSS 伯林日本古美術展覧会(1939年)の真実、・・・戦争への序曲

<<   作成日時 : 2017/03/02 00:28   >>

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1939年(昭和14年)2月28日、ヨーロッパとアジアできな臭い戦争の
足音、すでに日中戦争は泥沼化していた。その不穏な空気の中で
ドイツ第三帝国の首都、ベルリンであるやや風変わりな展覧会が華
々しく幕を開いた。第三帝国んヒトラー総統の臨席のもと、開幕した
「伯林日本古美術展覧会」がそれであった。

 ヒトラーは美術学校の出身であり、美術作品、特に絵画について
は独自の個性に満ちた、ある意味歪んだ強烈な考えを抱いていたこ
とは周知の事実である。開会式の終った後、ヒトラーは、妙法院「二
十八衆立像」、室生寺「釈迦如来坐像」など国宝29点、重要美術品63
点を含む126店にものぼる日本の古美術品を見て回った。

  伯林日本古美術展覧会でのヒトラー、ゲーリングなど。

 
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 その中でヒトラー足を止め、じっと興味深げに見入った作品というと
、そしてそのことで勇名を馳せ、知名度を大いに向上させた室町時代
の画僧、雪村の描いた山水画「風涛図」であった。雪村はその名前か
ら想像されるように、雪舟を大いに意識した画僧だったが、画風は全
く異なり、影響は受けていない。画家を志したこともあるヒトラーは絵
画を見る絵は鋭い。雪村、尾形光琳、円山応挙らの出展作品を見て、
「よくこれだけ単純な線で、これだけの効果を挙げているものだ」(東京
朝日新聞3月14日)と感歎しきりであった、という。

 実際、あの時代、時期にこれほどの数多くの国宝、重要美術品をベ
ルリンに送り、全て一堂に展示陳列した古美術品展覧会は史上空前
であり、ヒトラー、第三帝国の威光がなければ不可能であったはずだ。

 ここに至るまではドイツに対して日本の美術作品を営々と紹介して
きた多くの人物の存在が重要である。まず最初は民俗学的な興味か
ら蒐集を行った明治初期のベルツ、などのいわゆる「お雇い外国人」
がその中心であった。明治維新ころからの廃仏毀釈、神道隆盛の時
勢により、多くの仏教美術品が廃棄寸前のガラクタと見なされ、かれ
らは全くタダ同然で多くの美術品を入手したのである。

 20世紀に入るとドイツの日本美術への認識は深化し、美術館の設
立を視野においての蒐集が続けられた。ケルン東洋美術館初代館長
のアドルフ・フィッシャーらが重要である。さらに続くのが日本美術研究
家で、後に「伯林日本古美術展覧会」を開催を導いたドイツ国立博物
館総長のオトー・キュンメル。

  ★日独伊防共協定と「嵯峨天皇御影」(鎌倉時代)

 この展覧会に至る紆余曲折として大きな要素としての一つの肖像
画が指摘できる。

 推定で明治39年、1906年ころキュンメルが京都の古道具屋から購
入した「嵯峨天皇御影」である。実はこの日本の古美術絵画の中で
も至宝とされるこの肖像画が知らぬ間にドイツ人に買い取られ、遥か
遠くのドイツのち地にあると分かって日本国内に大きな動揺が起きた
。日本政府はドイツ政府にその返還、サイドの日本の買い取りを求め
ていたが、ドイツ側はにべもなく断り、さらに日独関係は、昭和一桁か
ら10年代の初期、非常に悪かったのが実際であった。日本側に見せ
てもくれなかった。

  
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 ★ヒトラー1935年、昭和10年6月、「嵯峨天皇御影」を突然、裕仁
天皇に献上!

 その裏には日独伊防共協定というファシズム国家の団結を目指す
ための両国関係円滑化のための手段として利用されたのである。
1931年、昭和11年11月25日、日独伊防共協定は締結され、さらに
1938年、日独文化協定をも締結されるに至った。
 さらにキュンメルには、この返還により、自身が考える日本古美術
展覧会、・・・・従来の日本といえば浮世絵、公工芸品という欧米の
画一的認識を改めさせる、日本の絵画を中心とする古美術展覧会
の開催を目論んでいた。

 ともあれ伯林日本古美術展覧会は32日間の期間ちゅう、大入りで
大盛況のうちに幕を閉じた。この期間で6万4500人も入場したのであ
る。ほぼ同じ展示作品で7月5日から11日まで帰国展が東京帝室博
物館で開催された。

 だが日本の古美術をめぐる日独の交流もしょせんは戦争への準備
、序曲でしかなかったのである。これだけの展覧会、しかも大成功で
あったものが戦後語られることは殆どなかったのである。

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